• 検索結果がありません。

心理学ワールド 93号 私の出前授業 高校生のための心理学講座@九州心理学会(熊本大学) 原口 雅浩(久留米大学) | 日本心理学会

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "心理学ワールド 93号 私の出前授業 高校生のための心理学講座@九州心理学会(熊本大学) 原口 雅浩(久留米大学) | 日本心理学会"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

30  2019年11月17日,熊本大学黒髪キャンパス において「高校生のための心理学講座」を九州 心理学会との共催で開催しました。熊本県内の 高校生を中心に,当日は87名の方にご参加い ただきました。以下,講座の開催に至るまでの 経緯,各講師の発表内容の概略と当日の様子な どをまとめます。 講座の開催に至るまでの経緯  私が所属している久留米大学は,2013年度 から「高校生のための心理学講座」を開催して います。当初は久留米大学の教員が講師を担当 していましたが,2017年度から,近隣の大学 の先生にも講師をお願いしています。  2018年度の日本心理学会第82回大会で,「地 域心理学会の魅力と課題」と題した公募シンポ ジウムが開催されました。そこでは地域学会な らではの魅力も語られましたが,共通の課題と して地域学会の活性化があげられました。九州 心理学会でも活性化を目指して,これまでの学 部学生の発表資格,優秀発表賞の設置,九州学 生心理学会との合同開催に加え,2019年度の 九州心理学会第80回大会(熊本大学)で「高 校生のための心理学講座」を共催とすることを 理事会で決定し,企画に応募いたしました。 当日の講座内容と様子  以下の5名が話題提供を行いました(登壇 順)。当日は一題を50分ずつとし,40分から45 分程度で話題提供を行い,その後10分程度の 質疑応答としました。司会は藤田 豊先生(熊 本大学)と原口が担当しました。 心理学研究法 原⼝雅浩(久留⽶⼤学)  心理学では,こころ(行動)を研究するため に,観察,実験,調査・検査,面接という方法 が用いられています。本講義では,心理学で行 われているこころを測る試みの中から,「態度」 「思考過程」「性格」を測る方法について,IAT (潜在連合テスト)やストループ検査などを用 いて概説しました。後半は,およそ20名ずつ 4班に分かれて九州心理学会の発表(ポスター 形式)の見学を行いました。高校生からは「九 州心理学会の発表の見学もさせていただきまし た。お昼休みにもう一度のぞいてみたら,ある 方から説明をしていただきました。難しいと感 じる部分もあったけど,楽しかったし,心理学 をもっと大学で学びたいと思いました」という 感想が寄せられました。 知覚心理学 寺本 渉(熊本⼤学)  心がつくる「リアル」な世界について講義し ていただきました。高校の模擬講義などで知覚 心理学の話をすると,決まって「それも心理学 なのですか」という反応が返ってくるそうで す。「見る」「聞く」「触れる」という行動は, 日常のありふれた行動で無自覚に行っている 分,その背後にある心の働きに気づきにくいの だと思います。そこで本講義では,視覚,聴覚, 触覚やその組み合わせによって生じる錯覚を生 で体験し,物理世界と知覚世界のギャップに気

高校生のための心理学講座

@九州心理学会

(熊本大学)

久留米大学文学部心理学科 教授

原口雅浩

(はらぐち まさひろ)

(2)

31

私の出前授業

Profile─ 1989年,九州大学大学院文学研究科心理学専攻修了。九州大学教養部 助手,久留 米大学文学部人間科学科 講師,助教授を経て2007年より現職。2018年より九州心 理学会 事務局長。専門は知覚心理学。著書に『医療行動科学のためのミニマム・サ イコロジー』(分担執筆,北大路書房),共訳書に『視覚情報処理モデル入門』(サイ エンス社),『ビジュアル・イリュージョン』(誠信書房)など。 づいてもらいました。われわれの感じるリアル な世界はこれまでの経験をもとに個々人の心が 色づけた,いわば心の創造物であることを伝え られたと思います。 生理心理学 福⽥恭介(福岡県⽴⼤学)  目の動きから心の働きを探る講義をしていた だきました。受講者同士のやりとりによって, 指の動きを追うときのゆっくりした眼球運動や 文章を読むときのピョンピョン跳ぶような眼球 運動を経験してもらいました。また,まばたき は,目の乾燥によって生じるだけでなく,予期 中は抑制され,処理終了後に発生すること,そ の一方で,想起中は,まばたきが発生しやすい ことを示していただきました。これらの目の動 きは,自分の意志ではコントロールできないこ と,さらに,心の働きと密接に関連しており, 「目は心の窓」であることが理解できたと思い ます。 社会心理学 藤村まこと(福岡⼥学院⼤学)  本講義では,社会心理学が取り扱う領域を自 己・個人内過程,身近な対人関係,集団・組織, 集合現象,社会・文化の五つに分けて,各領域 の特徴やつながりについて説明をしていただき ました。その後,葛藤分類(課題葛藤と関係葛 藤)とそれらが集団の効果性に及ぼす影響,葛 藤解決方略や第三者による葛藤介入の効果,そ して,失敗の捉え方と失敗学習について解説を していただき,対人葛藤は集団にとって避ける べき悪者なのか,良い集団やチームとはどのよ うなものなのかを高校生に考えていただきまし た。 福祉心理学 稲⾕ふみ枝(⿅児島⼤学)  超高齢社会になり,高齢者に対して病院や介 護施設,コミュニティなどの福祉の現場で,心 理支援の必要性が高まっています。本講義で は,心理,社会,身体的喪失を経験して引き こもり状態にある人や認知症高齢者とコミュ ニケーションをとる援助法などが紹介されま した。認知症ケアでは,老化と認知症の理解 を基本とします。また,言語機能などが低下す る認知症の人との関わりにおいては,主観に 沿った傾聴を行い,感情の表出を促進したり, 個々のペースに合わせたりする支援が有効だと いわれています。それらの実践として傾聴技法 であるアクティブリスニングやバリデーション 法が紹介されました。  どの講座も座学だけでなく,参加者に体験し てもらったり,考えてもらったりするものでし た。終了後のアンケートで,「内容に興味が持 てた」「わかりやすかった」「新しい知識を得る ことができた」「心理学についての関心が増し た」のすべての項目で平均得点(5点満点)が 4.6点以上あり,参加者の皆さんにも満足して いただけたと思います。  さらに,「学校の先生に『心理学は思ってい るのと違う』と言われ,講座に参加しました」 「幅広い心理学について今日一日で知ることが でき,さらに興味を持ちました」「心理学の道 へ進むか迷っていましたが,今回の講座を聞い て,心理学を研究したいと心から思うことがで きました」などの感想が多数寄せられ,「心理 学」への誤解を解き,「心理学は実証に基づく 科学的な学問」ということを専門家がわかりや すく伝えるという講座の目的を達成できたと思 います。  なお,第81回大会(鹿児島大学)でも共催の予 定でしたが,コロナ禍の影響で延期されました。 (九州心理学会ロゴマーク)

参照

関連したドキュメント

鈴木 則宏 慶應義塾大学医学部内科(神経) 教授 祖父江 元 名古屋大学大学院神経内科学 教授 高橋 良輔 京都大学大学院臨床神経学 教授 辻 省次 東京大学大学院神経内科学

1991 年 10 月  桃山学院大学経営学部専任講師 1997 年  4 月  桃山学院大学経営学部助教授 2003 年  4 月  桃山学院大学経営学部教授(〜現在) 2008 年  4

講師:首都大学東京 システムデザイン学部 知能機械システムコース 准教授 三好 洋美先生 芝浦工業大学 システム理工学部 生命科学科 助教 中村

Photo Library キャンパスの夏 ひと 人 ひと 私たちの先生 文学部  米山直樹ゼミ SKY SEMINAR 文学部総合心理科学科教授・博士(心理学). 中島定彦

向井 康夫 : 東北大学大学院 生命科学研究科 助教 牧野 渡 : 東北大学大学院 生命科学研究科 助教 占部 城太郎 :

高村 ゆかり 名古屋大学大学院環境学研究科 教授 寺島 紘士 笹川平和財団 海洋政策研究所長 西本 健太郎 東北大学大学院法学研究科 准教授 三浦 大介 神奈川大学 法学部長.